『も~っと わけあって絶滅しました。』/丸山貴史(監修:今泉忠明) ◎

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こちら〈わけあって絶滅しました。〉シリーズの3冊目、『も~っと わけあって絶滅しました。』
前作『わけあって絶滅しました。』『続 わけあって絶滅しました。』と、大変残念な絶滅理由により『地球』という舞台から退場された生き物の皆さんを紹介してきたこのシリーズですが、まだまだたくさん〈絶滅しちゃった〉生き物はたくさんいるってことですねぇ。
丸山貴史さんの軽快な文章に乗って、スイスイ読んじゃいましたが、一つの種族が絶滅するって、大変なことですよね、よく考えたら。

地球生誕以来、幾多の生き物が生まれ、進化し繁栄し、淘汰を経て姿を消していったわけですが、その滅亡理由も本当に様々。
生き延びるために特化した形状や食生活が原因になったり、食物連鎖の上位種がいなくなった流れで繁栄しすぎて食べるものがなくなったり、人間に狩られたり、人間が自分たちが生きやすいように環境を変えたせいで生きづらくなってしまったり・・・。
毎度のことですが、〈人間のせいで絶滅〉ルートに関しては、本当に申し訳ないと思います。
でもねぇ・・・人間も生きていきたいのよ。できれば、快適な環境で、命を脅かされることなく。「人間か他の生物か」の二者択一でもないし、共存手段は1つじゃないと思うので、なんとかなるといいな・・・と思います。

色々な絶滅理由の中で、一番「なんでやねん・・・」と思ったのが、「右の歯だけのばしすぎて絶滅」したオドベノケトプスさんですね~。
ジュゴンみたいな水棲哺乳類なんだけど、何故か右の歯だけ体長(2.5メートル)の半分近くまでのびているという・・。泳ぐのバランス悪いですよね?そんなに長いと、引っかかって危ないですよね?いくらメスにアピールしたいからって、それが逃亡速度に影響して、大型ハンターに捕食されちゃったら、お終いじゃないですか・・・。せめて左右両方に生やして、長さは泳ぐのにじゃまにならないスタイルにしたらよかったですね・・・。

他にも、目や口が頭から茎のような帰還でつながって離れた姿になってるターリーモンスターさん。軟体動物なのか脊椎動物なのかすら不明という曖昧な出自、どう見ても「宇宙から来た生命体さんですよね?」的な姿、名前に「モンスター」がついてしまったのも致し方ないレベルに、異様。まあ、見た目可愛いんですけどね。35センチなら、そんなに大きくないから怖くないし。でも「なんでその姿?」と思わずにはいられません。

人間のせいで「理不尽に絶滅」した、フォークランドオオカミさんやグアダルーペカラカラさんには、ホントにマジで申し訳なかった・・・。
その容姿が従来の人間生息エリアでの家畜を襲う生物に見えたからって、確認せずに根絶やしにしちゃったんですもんねぇ・・・。
いや、私が申し訳ながっても謝ってもしょうがないんですけど、それでもなんというか、申し訳ない。

「わけあって絶滅しそうです」な生き物さんたちの中で、有名なのはホッキョクグマさん。あと、最近値段が上がってきてるニホンウナギさんも、知名度が上がってきてますかね。クロマグロさんの絶滅しそうな理由も、結局は人間の欲望と技術革新のせいですねぇ。いやはや申し訳ない。

「絶滅した・・と思ってたら生きてた」みなさんは、ぜひ頑張って生き延びていってほしい。ただ、その中でバーバリライオンさんに関しては、個体数が少なすぎるので、ちょっとこの先が心配ですねぇ。テクノロジーでなんとかした場合、それは正しい免れ方なのかという議論の余地が残っちゃいますよね。

本作には、「わけあって根絶されました。」が別冊付録としてついてきてます。
絶滅と根絶は、違うんですね。人間を脅かすものとして、範囲(地域)を決めて行うもの・・・ですか~。なるほどねぇ。
唯一、日本吸血虫に寄生されるが故に、日本では根絶されてしまったミヤイリガイさん。
人間を殺すウイルスだから全世界的に根絶され、世界でたった2つの研究所にだけ保存されている、天然痘さん。
とにかく繁殖力が強く、ひたすら農作物を荒らすため、生殖能力を壊した個体を大量生産され子孫を作れなくされてしまった、ウリミバエさん。
毒針の攻撃力が高すぎて、ニュージーランドで根絶されたヒアリさんは、時々日本で見つかってニュースになったりしてますね。
これらもまた、人間の都合で根絶ですからねぇ・・ちょっと申し訳ないですよね。
あ、でも、天然痘は別かな。もし、天然痘が世界を席巻したとしたら、人類いなくなっちゃいますからなぁ。

そんなこんなで、本作もまた〈わけあって絶滅しました。〉な生き物たちがたくさん紹介されました。
彼らの「こうすりゃよかった」な一言が、これからの人類だけじゃなく生き物たちの「生き延び・多様化し・ともに共存繁栄していく方法」を模索していく中でのアイデアになるかもしれませんね。

(2023.01.21 読了)

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