「分冊版だと、予約冊数の上限に引っかかるから、愛蔵版1冊で予約しよう~っと♪」なんて、よく考えずに図書館の貸出予約を入れた私が、馬鹿でした・・・。
受け取りに行って、カウンターの職員さんが持ってきた本を見て、「箱?!」と、膝から崩れ落ちそうになりました。
厚さ6.5cm、重量1.2kg、ページ数にして1344ページ。
そりゃね、京極夏彦さんの作品は、〈読む鈍器〉とか〈神をも恐れぬ製本〉とか言われてますよ?
にしたって、こりゃないわ(笑)。いや、目の前にあるんだけど。
もっと凄いのもあるのかもしれませんが、今まで私が出会ってきた本の中では、最高レベルの製本でした。
〈百鬼夜行シリーズ〉の4作目、『鉄鼠の檻』。
製本も最高レベルでしたが、もちろん内容のレベルの高さも半端なかったです!!
(※図書館で借りてきたのは愛蔵版ですが、楽天でもアマゾンでも検索して出てこないため、このレビューでの書影は文庫版にしました)
読んでも、読んでも、進んだ気がしない(笑)。何日かかったんだろう・・・確実に、半月以上かかってるよ・・・。
それでも最後の数日は、ストーリーが気になって気になって、私まで〈檻〉に閉じ込められたように、むさぼり読んでいました。
箱根山中、どの寺社系統にも所属しない、謎の寺院・明慧寺。
取材に向かった中禅寺敦子(京極堂の妹)とカストリ記者の鳥口は、その明慧寺の近くにある旅館・仙石楼で『姑獲鳥の夏』に登場した医者・久遠寺と再会する。仙石楼には明慧寺の僧侶・小坂了念に取引で呼ばれた古物商・今川も、滞在していた。
仙石楼で僧侶の遺体が発見され、少し離れた別の旅館に京極堂と滞在していた関口が鳥口に呼ばれ、久遠寺も探偵・榎木戸を招聘。
彼らは捜査のため警察とともに、発見された了念の所属していた明慧寺に移動するのだが・・・
謎の多い明慧寺。警察が捜査を続けているにも関わらず、次々と殺されていく僧侶たち、捜査に懊悩して迷走する警察、十数年の時を経て山中を彷徨う年齢の変わらぬ振袖姿の娘、京極堂の調査している土中に埋まっていた蔵・・・。
・・・無理だな、あらすじ(笑)。
色々な事態が発生するし、仏教の歴史や思想や教義は難しいし、なんせ1300ページを超えるし(本は重いし)、相変わらず迸る蘊蓄と怒涛の博覧強記に溺れるだけの私だったのでした(笑)。
言えることは、相変わらず関口の扱いが酷い(笑)。
確かに、出てくる人物たちの中では、平々凡々で少々気が弱すぎて鬱気味、物書きとしてもなんだか茫洋としてて「この人生活していけるのかしら」と心配になるぐらいなんだけど。
でも、このキャラ渋滞のなかで、平凡でいられるって、逆に凄いことなんじゃないですかね(笑)。
酷いのは酷いけど、それでもなんだかんだ言って、みんなから愛されている感じがする。人徳ですかねぇ。
そんな彼が、自分で体験したこと、あとから聞いたことを書き連ねて、このシリーズになるんですから、実は凄い小説家なんですよね(笑)。
あと、捜査主任の山下警部補の器の小ささ(笑)。彼が空威張りするたびに、「山下、器、ちっさww」と笑いが漏れてしまいましたよ。
自信を失って迷走するわ、復調したと思えばまた失速、まあ事件が事件だけに、ちょっと可哀想でしたかねぇ。
京極堂は言う。〈怪異なんてものは、ない〉のだと。
〈ひと〉はわからないことに対して怯れを抱き、なんとか解釈しようとして〈怪異〉をこじつける。
こじつけられた〈怪異〉は、憶測や執念などが加えられて、拗れて出現する。
それを解きほぐし理を与えるのが、京極堂の行う〈憑物落とし〉。
だが、今回の最後に行われた〈大禿〉落としは、落とせたのでしょうか?
大禿が取り憑いていた人物は、現場から姿を消した。
〈鉄鼠によって作られた檻〉も、解きほぐされて、僧たちは山を降りることが出来た。
明慧寺の謎も解決し、連続殺人の真犯人とその動機も判明、京極が調査していた蔵の出自も判明(ただし内部に保管されていた書物は大鼠に齧り尽くされ散逸)、仙石楼に戻ってきた一行は疲労の余り虚脱するほど。
大禿は落ちたのか。妙にそれが気になってしまいました。
あ~・・・。
だらだらと、レビューのようなそうじゃないようなことを書き続けてしまいました。
凄い物語だったことは、本当なのですが。それを表現できる能力が、私にはない(笑)。
こんな物語を書ける京極さんて、ホントに凄い。
物語の構成力、表現力もさることながら、これを書ける体力が凄いわ・・・。
(2023.10.15 読了)
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