You Tube「山田五郎 オトナの教養講座」で、絵画鑑賞初心者の私にもわかりやすく面白い絵画解説をしている、山田五郎さん。本書『美童〈闇の西洋絵画史(7)〉』は、全10冊からなる〈闇の西洋絵画史〉シリーズの7冊目。
シリーズ前半の『魔性〈闇の西洋絵画史(2)〉』と対になる本作では、これでもかというくらい美しい少年・青年の絵画が紹介されるのですが・・・。
大変残念なことに、ワタクシに〈美童を愛でる感性〉が足りませんでした(笑)。
つややかな白皙の顔貌にかかる柔らかな髪、見る者を誘うかのような眼差し、己の肉体の美をさり気なく誇張するポーズ、好きな人にはたまらないのでしょうが、私的には「へぇ・・・」で終わっちゃうという。
特に、成熟しきらない裸体の少年を見てしまうと「いやアンタ、寒かろう?」と毛布をかけてやりたくなってしまい、「私、オカンかよ・・・」と自らにツッコミを入れてしまいました。
いやだって、ホント寒そうなんだもん。
背景を暗くして体の白さを強調しようとしてるんだけど、それがまあ寒々としてるんですよねぇ。
それと、〈美少年と死〉というテーマが鑑賞者をそそるんでしょうか、刹那的な美しさではあるものの、やっぱり寒いんですわ(笑)。
究極に寒そう(笑)なのが、ジャン・デルヴィルの《オルフェウスの死》。
まあ、もう死んでますからねぇ。
竪琴に乗せられて川を流れながら、歌う生首・・・。青い川面に灰色がかった顔色の美青年の首は、アカンて。見てるこっちが、凍えそう。
もちろん、着衣の美童もたくさんいるのですが、どれもクールな表情を浮かべてるのが、今ひとつ私には響かなかったです。
子供は子供らしく、にぱぁ!ってぐらいに笑ってる方が好きかな(笑)。
ということで、そこまで笑ってはいないけど、ジョン・シンガー・サージェントの《エドワード・L・デイヴィス夫人とその息子リヴィングトン・デイヴィス》はお母さんと一緒にモデルになってることが彼の安心に繋がってるのか、明るめの表情で描かれてるので、良かった(見てて安心した)です。
この子は、賢そうだわ。気品も漂ってる感じ。
しかし、「おわりに」で6枚も聖セバスティアヌスの絵が並べられてるのには、ちょっと笑ってしまいました。本文中にもすでに3枚紹介されてるんですけど、まるでトドメを刺すかのようですよ。
殉教の美青年に矢が突き刺さってる図って、そんなに「イイ」んですかね(笑)。
しかも、この聖セバスティアヌスって、全身に矢を射られても死ぬことなく教えを説き続け、最後は棍棒で撲殺されたという、かなり悲惨な最期を遂げちゃってるんですから、最終図は美しくないわけで、その直前を描いて「美しい!イイ!」って思うのは、なかなかアレな趣味なんじゃないんでしょうか・・・。
私、イケメンは嫌いじゃないですが、美童はちょっと苦手なのが本書でわかりました(笑)。
(2023.12.26 読了)
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