書評で「正統派ミステリーにタイムループと人格転移というSF要素を組み込んだ」と大絶賛された本書、『イヴリン嬢は七回殺される』。
時系列も登場人物たちの関係も、世界観も設定も、複雑。正統派ミステリーの名にふさわしく、謎を解くための様々なヒントが散りばめられているのに、あまりにも緻密な構成のため、全然私には謎は解けませんでした(笑)。
しかしまあ、これがデビュー作だというのだから、スチュアート・タートンさん・・・すごいですよ、ホントに。
森の中に孤立する屋敷、ブラックヒース館。長い間放置されていたこの屋敷に、当主・ハードカースル一族と16年前に長男が殺されたときに屋敷に居た人々が招待され、仮面舞踏会が催される。
すべての記憶を失った男が、そこで繰り返す1日。同じ1日を8人の人格を移ろいながら、繰り返す中で、「この日、ハードカースル家の長女・イヴリン嬢が殺される理由を解き明かさねば、記憶をまた失った状態からこの日を延々と繰り返すのだ」と脅迫される。
記憶喪失の男・エイデン・ビショップは、唯一覚えていた名前を持つ女・アナとともに、この屋敷のループから脱出することは出来るのか?!
すっっっ・・・・ごく省略すると、こんな物語なんだと・・・思います。
ですが、まあホント、複雑で。
8つの人格を転移しながら、それぞれの性質が影響しつつ謎に挑み、深夜に眠ると次の人格に移転し再度朝から同じ1日が始まり、途中で気を失ったり眠ったり死亡したりすると、途中で途切れた人格へ行きつ戻りつし・・・。
それぞれが見たことや知ったこと、自分の行動からのちの人格への情報受け渡しが行われたり、エイデン(とその宿主)以外の人物からの妨害、味方かわからない人物(アナも含まれる)との交渉、次々と死亡していく屋敷内の人々・・・。
〈イヴリン嬢の死の謎を解けば開放する〉という〈黒死病医師〉の仮面を被った男は、ゲームマスターなのか?
16年前に長男が殺された際の謎、殺されると知っているイヴリン嬢の謎の明るさ、姿を見せない当主夫婦・・・・。
うん、わからん!!
まずね、大変残念なことに、水無月・Rは〈海外作品の登場人物のカタカナな名前が覚えられない〉という欠点があります。
しかも、単純脳の持ち主なので、複雑に絡み合うタイムリープとか、登場人物一覧の簡単な情報では彼らの区別がつかないとか、〈なんでお前海外ミステリー(しかも複雑だと評されてる)読んでるのさ〉と突っ込まれても、仕方ないです、はい。
でもね~、書評があまりにも魅力的で、「アタマ悪い私でも、頑張って読んでみたい」気になっちゃったんですよねぇ(笑)。
で、10日かけて一生懸命読みました。
宿主を順番に並べ、一言メモを付け加え、読んで判明した事実を書き込み、エイデンの推理を書き込み、私の憶測を書き込み、新たに生まれた謎も書き込み・・・なんと数枚の書き散らしメモを駆使し、屋敷の地図なども参照しながら、読みましたよ。
・・・それでも、全ッッ然、謎は解けませんでしたけどね(笑)。
正直、これは本当に読むのに知力と気力と体力がいります。
それを全力で使って、読み終えて・・・驚くのですよ。
これだけ複雑で、設定もリアルワールドではなくかと言ってファンタジーでもなく、こういうルールにしてあるのか!というような独特な設定であるにも関わらず、破綻がまったくないのですよ。
はぁ~、いやホント、著者・タートンさんの頭の中って、どうなってるの・・・。
長い時間をかけ、何度も推敲を繰り返し、登場人物のタイムスケジュールを管理し、描かれない背景まで作り上げた・・・と訳者あとがきにありましたが、この作品を完璧に仕上げるのに、どれだけの能力が注ぎ込まれたかと思うだけで、気が遠くなりそうですね。
イヴリン嬢を殺したのは誰か、が判った後に続く展開、とんでもない入れ替わり、前半で何気なく死亡した者の真の死亡理由、そして〈ブラックヒース館が何の舞台であるのか〉という設定、果てしなく広がる頭脳戦に、実は途中で〈私に解くことは出来ないから、とにかく終わりまで読んで全てを知らねば〉という謎の使命感に囚われてしまいました(笑)。
で、その結果・・・読むのにすごく時間がかかったし疲れたけど、充実・・・でもまた読みたいか(同傾向の作品を)と言うとどうなんでしょうか(笑)。面白い・・・けど、やっぱり水無月・Rには無理かな~。
(2024.01.09 読了)
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