なんていうか、非常に後味が悪いですよ・・・色んな意味で。
私的には、澤村伊智さんといえば〈理不尽が過ぎるホラー〉と〈圧倒的に暴力的な怪異〉が無双する小説を書かれる作家さんというイメージだったんですが、本作『ファミリーランド』で「澤村さんって、SFもこんな感じで書けちゃうのね・・・」と、良くも悪くもゲッソリしてしまいました。澤村さんらしいといえば、すごく「らしい」気もします。
この作品のジャンルとして、ミステリーを入れていいのかよくわからないんですけど、すごく〈イヤミス〉っぽいですね。
読了後の後味の悪さったら、とんでもないレベルですよ。
実は6編とも微妙に繋がりがあるので、一つの世界観だという事がわかるんですが、いやぁ・・・こんな未来はちょっとご勘弁願いたいですよね~。
タブレットやウェアラブルデバイス、通信技術やVR(AR)の技術などが発達した未来の日本、「今の私達の常識(リアル)」が変化している日常がこんなだったら、便利なことも多いけどちょっと頭を抱えてしまいそうです。
「コンピューターお義母さん」
こんなお義母さんは、絶対にイヤですよ、私は。
「翼の折れた金魚」
こんな世界で、私は外見差別せずにいられるだろうか。
「マリッジ・サバイバー」
箍を外すと、実は匂いを計測され、バレていた。
「サヨナキが飛んだ日」
娘の依存も多少問題だったけど、母の束縛のほうが・・・
「今夜宇宙船の見える丘に」
これはある意味〈理不尽が過ぎる〉ラストだわ。
「愛を語るより先の通り執り行おう」
多分、いい話なんだろうけど、今ひとつ私には響かなかった・・・。
「コンピューターお義母さん」、絶対に嫌だわ、嫁の立場として。
正直、こんなことされたら、離婚したい。無理。軽い嫌味ぐらいならともかく、家の鍵を開けてくれないとか、電気をつけてくれないとか、酷すぎない?
お義母さんの死後、家族がどんよりしちゃうのを解消するのは、お義母さんの契約した「疑似お義母さん」じゃなくて、家族たちの関係性であって欲しかったですねぇ。
いつまでお義母さんに頼るの?自分たちで、自分たちの生活の質を上げる努力はしないわけ?って思っちゃいましたね。
「今夜宇宙船~」の介護支援システムとしての「処置」って、ぞっとしますよね。そうまでして「親の年金で食いつなぐ子供」という状態が、ある程度の数あるってことも、悲惨な状況だなと思います。介護をしながら職を得るということの難しさ、社会からドロップアウトした人の復帰や周りに支援を求めるにはプライドがあって出来ないというようなメンタルの難しさ、現代にも通じる社会問題を孕んでますよねぇ。
ラストの宇宙船から出てきたものと、それらの要求・・・、ある意味澤村さんらしい「理不尽さ」が、遺憾なく発揮されてる気がしますね。
地球よりずっと発達した文明でも養いきれなくなったものを、押し付けられる。
もし見殺しにしたりしたら、その文明からとんでもない報復を受けるかもしれないわけで。
今後、この世界って、どうなっちゃうんでしょうねぇ・・怖いわぁ。
どの物語にも、イヤ~な感じで「未来」が描かれています。
一つ一つに、思うところを吐露すると、とんでもなく長いレビューになってしまいそうなので、もう止めておきます。
願わくば、これらの世界の〈いいとこ取り〉をしたような未来が来てほしいものですね。
ホラー、イヤミス的な展開(オチ)、身近に感じられるSF、どれも実は私の好みだったりするんですが、本作は私が思い描くような融合の結果じゃない(笑)。いかに自分が、甘っちょろいかを痛感させられますなぁ。
これらをこういうふうに融合させた澤村さんて、怖ろしいですね。
そして、自分の甘っちょろさと直面するためにも、またこういう作品を読んでみたいです。
(2024.01.13 読了)
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