『成瀬は信じた道をいく』/宮島未奈 ◎


前作『成瀬は天下を取りにいく』で、私の心をガッツリ掴んだ、真っ直ぐに我が道を貫く少女・成瀬。
そんな成瀬の大学入学前後の約1年間を描いた本作『成瀬は信じた道をいく』は非常に魅力的で、読んでいてとても楽しかったです。
奇想天外というか、予測不能というか、ホントになんでも前向きに取り組んで、なんというか・・非常に清々しいです。
宮島未奈さん、成瀬は素晴らしいキャラクターに育っていますね!ありがとうございます!

本作でも、成瀬に憧れる小学生女子、成瀬父、成瀬のバイト先のスーパーにクレームを入れるお客、成瀬と一緒にびわ湖大津観光大使を務める女の子、そして成瀬の幼馴染・島崎の目線で、成瀬が成し遂げていく様々な出来事が語られていくのですが。
・・・みんな、成瀬に感化され魅了されてるなぁ、でもそれは成瀬が真っ直ぐだからなんですよね。

前作の時にも書きましたが、成瀬って本当に思いついたことはなんでも真剣に取り組む。だから、周りはついついそれを応援というか力を貸したくなってしまうし、自分の本心とも向き合って「自分ももっと頑張ってみよう!」って前向きに頑張れてしまう。
押しつけがましさは一切なくて、周りの本気を引き出してしまえる魅力が、成瀬にはあるんですよねぇ。

5章ある中で一番好きなのは、本作の集大成といってもいい「探さないでください」なんですが、その前の4章および前作を踏まえてオールキャストで成瀬を追いかける構成なので、別格なんですよね。
まあ、タイトルどおり「探さないでください」とだけ書置きして、スマホも持たずに失踪する成瀬の行動の奔放さには度肝を抜かれましたし、なぜ「探さないでください」だったのかがわかると、「・・・成瀬らしいなぁ」と笑っちゃうんですが。
びわ湖大津観光大使の衣装を着て、天下統一スタンプラリーを駆け込みでコンプリートしようと遠出をし、さらには東京の島崎宅を訪れ(逆に島崎は成瀬に会いに成瀬宅へ来ている)、そのあとなんとNHK紅白にけん玉ギネス参加者として出場・・・って、すごいわ。
紅白出演を秘密にしなきゃいけないからというのが、「探さないでください」の理由。うん、これにはずっこけたわ(笑)。
スマホを持って出なかったもの、「GPSで居場所がわかってしまうから」って・・・生真面目というかなんというか、うん、成瀬らしい。すごく、成瀬らしい。読んでて、ほっこりしたわ~。

成瀬の家族や島崎だけじゃなく、地元パトロール仲間の小学生・みらいちゃん、同じ観光大使の篠崎、愛あるクレーマーの呉間さんとその夫、みんなが協力して成瀬を追跡(びわ湖観光大使の衣装を着てるから、X(旧ツイッター)で探せるのだ・・)っていうのが、なかなかスケールが大きくなってて、前作や本作のエピソードで成瀬はときめき地区→大津市→滋賀県→全国へと進出範囲を広げてるなぁ!って感慨が深かったですね。しかも、無理やり感がなく、自然な感じでやれてるのがすごいですよね。
次作では、世界進出かしら(笑)。楽しみだわ~。
世界進出しても、成瀬はあの調子を崩さず、真っ直ぐ前向きに真面目に、飄々とこなしていくんでしょうね。
でも、それが嫌味に見えないのは、成瀬が本当になんでも真剣に取り組んでいるから。かっこいいなぁと思います。

「探さないでください」で、東京に引っ越した島崎が「私は最近の成瀬を知らない」「みらいちゃんのほうが今の成瀬を知ってるし、ゼゼカラでコンビを組んでると思ってるけど、今の成瀬の相方は篠崎かもしれない」と不安と嫉妬にかられるシーンがあるんですが、なんか前作の島崎が東京に行くと知って動揺する成瀬と同じで、なんというか二人って〈お互いに本当に特別〉なんだなぁと思えて、いつまでもこの二人の関係の物語を読んでいきたいと思ってしまいますね~。
通う学校が分かれても、住む場所が違っても、二人の絆は変わらないんだと思います。素敵だなぁ。

最終章以外も、どれも本当に良かったです。「やめたいクレーマー」の呉間さんの話には、クレーマーといっても色んな人がいるんだな、その観察力を活かして貰える方向性があるんだと知って、感心しました。まあ、ちょっと呉間さんは細かすぎるという気もしなくもないですが。
いやしかし・・・呉間さんて、ツンデレですよね~(笑)。

「コンビーフはうまい」のびわ湖大津観光大使の話も、面白かったです。パートナーの篠崎が、祖母・母・娘3代の観光大使就任を成し遂げたサラブレットなのに、全然スカしてないのがとても好感が持てるし、成瀬と一緒に観光大使をしていくうちに一皮むけて成長していくのも良かったです。
しかし、自治体の観光大使って、個人的な活動のときに衣装着て行っていいんだ??というのはちょっと疑問でした。
大津が、結構鷹揚なのかしら。まあ、成瀬なら観光大使として恥ずかしい行動は、絶対にしないでしょうけど。

「成瀬慶彦の憂鬱」で成瀬父があんな風に娘を愛してるのが、非常にほほえましかったです。
ちなみに、「広島の友達が京都の大学に~」云々の「広島の友達」は、前作のカルタ大会で知り合った成瀬に恋心を寄せる男子なんじゃないかな?この章で成瀬宅に泊まったユーチューバー・城山も京大に合格してるし、成瀬の大学生活に恋愛が発生するかどうかはともかく、男子との関係も広がって、ますます彼女の活動のバリエーションが広がりそうで、楽しみですなぁ!

長々書いちゃいましたが、とにかく面白かったです!
ぜひ、次回作は世界進出で!!お願いしたいですね♪

(2024.06.27 読了)

この記事へのコメント

  • 苗坊

    こんにちは^^
    続編も面白かったですねー。そして成瀬がますますパワーアップしていて安心しました。前回の西武のコスチュームと言い、今回の観光大使の格好と言い、目立ちたがり屋ではなさそうなのに結果目立っているのが面白くてしょうがなかったですね(笑)
    成瀬と島崎の入れ違った部分はどっちかが動かなかったら会えたのに!ともどかしさを感じました(笑)
    そして、お父さんは意外と普通の人だった事にも安心しました^m^
    これから交流も広がっていきそうで続編も楽しみですね!
    2024年06月28日 17:19
  • 水無月・R

    苗坊さん、ありがとうございます(^^)。
    ホント、成瀬のパワーアップぶりは、頼もしいというかなんというか(笑)。
    確かにお父さんは普通の人でしたが、娘への愛は心配性&強めで、微笑ましかったですね。
    これからも、成瀬の活躍を読んでみたいと思ってます!
    2024年06月28日 17:29
  • latifa

    水無月Rさん、こんにちは!
    やっと読めました。
    面白かったー。
    やっぱり色々な本の中で、この本ほど気軽に楽しく読める本って最近出会ってないなー。
    絶対続編も出ますよね? ずっと読みたいシリーズです。

    それと、あの彼、広島だったのをもう早忘れていて、こちらで気がつきましたよ!
    そっか、あのニトリのカタログうんぬん、の引っ越ししてくる友達とは彼の事だったのかー。
    そちらの展開も楽しみです。
    2025年02月06日 09:36
  • 水無月・R

    latifaさん、ありがとうございます(^^)。
    成瀬の周りの人たちが、彼女の真摯な言動につられて前向きに邁進していく様子が、とっても気持ちいいですよね!
    成瀬の真っ直ぐさは、ホントに清々しいです。
    続き、出てほしいなぁ。成瀬の大学生活、とっても気になります♪
    2025年02月06日 21:15