『絡新婦の理』/京極夏彦 ◎

私は毎回、京極夏彦さんの作品を〈神をも恐れぬ製本〉やら〈読む鈍器〉やらと称して、腱鞘炎になる不安を抱えつつ読んできたのですが、なんと今回は〈スマホに入れた電子書籍で読む〉という、禁じ手を使ってしまいました・・・。
ちなみに、電子書籍で本作を買おうとすると4冊に分冊される文庫版での入手となりました。
うん・・・軽かったですよ。持ち歩きもお手軽だったです。
でも、でもね、なんか物足りなかったです・・・!
なんと我儘なことよ・・・(笑)。
〈百鬼夜行シリーズ〉の5作目である『絡新婦の理』〈京極本は紙で読むべし〉と感じてしまった作品となりました(笑)。

まず最初に、ストーリーを要約するとか、いくつも発生する事件を整理して解説するとか、そういうコトはできません!!と白旗を上げておきます(笑)。
毎度のことですが、いくつもの事件が発生し、死体は量産され、シリーズメンバーが関わりあって集まり、情報は錯綜し、京極堂が出座するまでに事態は混乱を極め、憑き物落としでは迸る蘊蓄と怒涛の博覧強記が繰り広げられます。
つまり、私の如き浅慮・アタマの回転数が低さでは、読むだけで手一杯だったのでございます。
読んでて、混乱することも多々あり、メモを作りながら読んでもワケがわからなくなることも・・・。
ダメだこりゃ、京極作品を読む資格あるのかしら、私・・・(笑)。

冒頭、いきなり京極堂と黒幕と思われる女の会話から始まる。彼女の求める世界は、彼女が織り上げた犯罪によって実現するのか。
そして、百鬼夜行シリーズのメイン登場人物たちが、次々に連続殺人事件に巻き込まれていく。彼らの関わる事件は、どのような形でつながっていくのか。
幾人もの死者が出て、犯人を辿ると次の犯罪へと新たな流れが発生する。
誰が何をしようと、黒幕の織り上げた犯罪は結局進行するのだと京極堂は言う。自分とて参加すれば駒になる、と。
今川が憑物落としを依頼すると、「真実が明らかになることで、より事態が悪くなることもありうる、それでもいいのか?」と確認してから、京極堂は引き受ける。
警察や関係者たちが集結した〈蜘蛛の館〉で京極堂の憑物落としは進行しつつ、それでも更に死者は増えていく。
高笑いとともに「己が全てを仕組んだのだ」と高笑いする者が登場するが、違和感が・・・。
最終章にて、真の〈蜘蛛〉が判明。
う~ん、だろうなぁと思ってた人物だったので、意外性はなかったけど。
いまいち、彼女の仕組んだ蜘蛛の巣の罠がそこまで周到である必要性がわからなかったような・・・。

まあ、ねぇ・・・。
なんせ、1ヶ月以上かかったんですよ。読了するのに。
図書館で借りていないので、返却期限を気にすることもなかったというのもありますが。
電子書籍での読書、難しいですわ~(笑)。
〈感覚的にどれくらい読み進んでいるか〉が、わかりにくい。
もちろん、ページ数で確認はできるんですが、本を開いたときの左右の厚みの差で、直感的にどれぐらい読めているかをなんとなく感じているものだったんですねぇ。常に意識しているつもりはなかったんですが。
電子書籍、軽~くどんどん読めちゃうエンタメ系はいいけど、じっくり読みつつ時々前に戻って確認したりするのには、向いてないのかも。
重い本でも手軽に持ち歩けて、気軽に読める!と思ってたんですけど、そうは問屋が卸さなかったですなぁ(笑)。
慣れたらまた、違うのかしら。

ああ、ほとんど内容に触れていません・・・。
女系一族のあり方、ジェンダー問題、少女売春、黒ミサ、復讐、女権運動、精神疾患、薬学・・・、これ以外も様々な要素がありすぎて、全く整理ができてないんですよねぇ・・・。
整理できないまま、次作を読むのは如何なものかという気もしないでもないのですが、私にとってこのシリーズは「京極堂の憑物落としを這々の体で読み進める」ものなので、まあ良いかなと(^_^;)。
ただ、読むのにとても体力がいるので、すぐ次の作品に・・とは言えないのですが、年に1作品ぐらいのペースで読んでいきたいと思っています。

(2024.08.19 読了)

この記事へのコメント

  • yori

    水無月・Rさん
    そうそう、了巷説百物語、読了しました!!!
    こちらも長かったけどすごかった 笑
    2024年09月23日 16:44
  • 水無月・R

    yoriさん、ありがとうございます(^^)。
    シリーズ中最も難解だった・・・んですね。ちょっとホッとしました(笑)。
    危うく「百鬼夜行読む資格ないのかしら」と自信喪失しそうだったので。
    とはいえまあ、多分、続くシリーズ作品群を読むときは、満身創痍の這々の体になるだろうことは、予測がつきすぎるぐらいですが(笑)。
    その覚悟を持って、じっくり読んでいきたいと思います!
    2024年09月25日 16:33