下田署の刑事・村上貫一の後悔から、下巻たる『塗仏の宴 ~宴の始末~』は始まる。
そして、前巻『塗仏の宴 ~宴の支度~』から連なる、いくつもの組織集団の抗争と派生する謎、時折挟まれる〈超越者のような存在の独白〉、京極堂一派の情報収集の奔走と京極堂への出場要請、京極堂(と超越者)にだけ見えている『ゲーム』、意を決して事態の憑き物落としに乗り出す京極堂。
いやぁ・・・文庫にして1000ページ越えの超大作過ぎて、読むのに2週間かかってしまいましたよ・・・。
ええ、いつもの〈読む鈍器〉ですからね、職場の休憩所で「あの人今度は何読んでんのよ・・・」な目線、歯医者の待合室では「すごい本読んでますね~」と受付のお姉さんに半笑いで感心されるという・・・(笑)。
あのですねぇ京極夏彦さん、文庫でこの厚みは「ご飯食べながら読む」のに適してません!!本を開いて固定できません!!(笑)
前作『宴の支度』に登場した様々な団体・組織・集団・個人が、「韮山奥の戸人(へびと)村」を目指して動き出す。
千葉の刑事・木場修太郎はその過程でいったん姿を消し、拉致された中禅寺敦子(京極堂の妹)を追って探偵・榎木津も姿を消す。
木場の相棒・青木、榎木津のの助手・増田、カストリ雑誌の記者・鳥口の下っ端三人衆(笑)が情報収集に駆け回っては京極堂に出場を要請するも、「何ら事件は起きていない」「このゲームに自分が参加すれば事態は事件になる」と、京極堂は動き出そうとしない。
そんな京極堂に喝を入れたのが、榎木津。周囲の期待と榎木津に背中を押され、それぞれに役割を割り振った京極堂は、黒装束に身を包み、戸人村へ向かう。
村に至る山道で、参加者は篩に掛けられる。
そして、村の中心にある佐伯邸の奥座敷に集まった重要人物たちとその支援者、京極堂一派は対峙し、京極堂による憑き物落としが始まる。
それは、京極堂が戦中に所属したとある研究とその周辺、そしてそれらの組織の上部にいた者による、「家族を壊す」というゲームを解体しようという、京極堂の「言葉による闘い」であった。
集められた重要人物たちに掛けられていた催眠(自分が家族全員を殺した)が明かされ驚くべき関係が再現し、対立していた後催眠の術者は崩れ落ち、意外な者が駒ではなく黒幕(超越者・観察者)の配下であったりと、次々に真相が明らかにされていく。
奥座敷の隠し部屋に鎮座していた「くんほう様」の正体。それを蹴り壊した榎木津。
そして、一番最後に明かされた本当の「くんほう様」の正体。
現場に残った京極堂一派の「宴の後」の様子を綴って、物語は終わる。
あ~~、え~~と。あらすじ書いてみました。
うん、私の主観と覚えていられたことしか書いてないから、なんかもうグダグダで言葉足らずで、何の役にも立ちません。すみません。
で、感想ですよ。
・・・集大成?いや、続巻がまだまだ続くことは知ってるので、そんなわけないことはわかってるんですが、とりあえず一旦今までの総まとめのようでしたねぇ。登場人物も多いし。今まで京極堂が関わってきた様々な事態(憑き物落とし)が、少しずつ関連してきてるし。
京極堂の過去も垣間見え、本件の黒幕・堂島との因縁も明らかにされ、堂島が無傷で退場した以上、今後また京極堂に関わりを持ってくるかもしれないという、〈百鬼夜行 シリーズ〉の広がりも予感させられました。
う~ん、とにかく、登場人物が多い。そしてその背後にある団体の数も多い。京極堂一派も大集合。
・・・水無月・Rのキャパを超えてるんですよ(笑)。『宴の支度』から引き継いだメモにいろいろ書き足しながら、それでもわからないことは禁じ手のWikipedia様を頼りつつストーリーの答え合わせは避け、読み続けること2週間。
すごくアタマの悪い感想言っていいですか?
「頭脳優秀な人が描いた、頭脳優秀な人物による物語って、すげぇ・・・」
これからも、這う這うの体で京極夏彦作品を読み続けるんだろうなぁ、私。
そして毎回〈読む鈍器〉だの〈迸る薀蓄と怒涛の博覧強記〉だの、それっぽい御託を並べながら、ただひたすら「すげぇ・・・」って思うのでしょう(笑)。
いや、もうあきらめてます。そういうもんなんです、私と京極作品の関係って(笑)。
そういえば、『宴の支度』のときに、「早く関口が解放されますように」と思ってたのですが、結局今作物語終わっても、関口は収監されたまま(たぶんかなり厳しい尋問により衰弱中)です・・。哀れなり。
実はくんほう様の正体が、関口の専門だったってのは、ちょっとびっくりしましたけど。
もしかしたら、一目で正体を見破ってたかもしれませんねぇ。
多分今作終了時点ではかなり憔悴してるであろうとは思いますが、次作ではまた京極堂一派のいじられキャラとして、元気に登場してほしいものです。
それから、「鳥口・青木・益田」の下っ端(下僕)三人衆(比較的若者?)の、敦子好き(推し?)がなんだか微笑ましかったです(笑)。
敦子に知人としてそれなりに大事には思われてるんだけど、誰一人として報われないであろうことが本人たちにもわかってるのに、それでもってところが、なんとも。
織作茜が殺された理由は確かに説明されましたしたが、う~ん・・・とばっちりとは言えないけど、なんだかかわいそうだな・・・って思わされてしまった時点でハッとしました。いやいや、茜は悪女だったじゃん。
とはいえ、廻り廻る陰謀の中で背負わされた役割故の退場、彼女の頭脳冴える活躍がみられないというのは、少し残念かもしれません。
京極作品は、気力と体力と時間が要ります(笑)。次の作品を手に取るのは、すぐには出来ないと思いますが、ぼちぼちやっていこうと思います。
(2025.02.04 読了)
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