そしてもちろんその期待は全く外れず、シキブ(紫式部)のネガティブで拗らせまくってる様子がビシバシ描かれ、どっちかって言うと私もナゴンみたいなパリピじゃないんで、「あぁ~、わかる!わかるよシキブ!」「ぐるぐる考えちゃうよね!悩んじゃうよね!」「あんなこと言われたら、ナゴンのこと恨んじゃうよね!」と、こちらも共感しまくり。
シキブさん、この子が男ならと父を嘆かせた才媛で、『源氏物語』で名を馳せ、仕えた主人は一条天皇の皇子2人を産んで後宮を席巻した中宮・定子、そんな華やかな経歴の持ち主なのに、とにかくネガティブ(笑)。
出仕早々、総スカンの洗礼を受けて5か月の引きこもり、バカのふりで先輩からの攻撃をかわし、定子にこっそり漢籍を教え・・・、うわ~苦労人だ~。
頑固者の父、ぼんやりで使えない弟、実家の栄達は見込めず、生きていくためにはからかわれたり嫌味を言われたりする苦手な宮仕えを続けねばならない・・・これはストレス溜まるわ~。
そのストレスのはけ口でもないけど、とにかくいろんな人物が出てきて様々な人間関係が絡み合う『源氏物語』を記すことになった、シキブ。
パトロンである道長からはちょっかいを出されては躱し、宮中の貴公子たちとも渡り合い、同僚たちとはキビシイ現実的な状況を笑いに替えたり嘆いたり。すべての経験が、『源氏物語』に活かされて行くわけですねぇ。
そんなアレコレを描いた『紫式部日記』の中からたくさんのエピソードをピックアップして、クスッと笑えて悩みに共感出来て、1000年経っても、世渡りってホントに困難なのよね~とシキブに同情&同意の嵐でした。
彰子サロンと定子サロンの違いも、興味深かったですね。同じ天皇の妻でも、それぞれの特色がにじみ出るサロンが形成されるんですねぇ。
そりゃあ、お互いに張り合って向上に努めれば、後宮文化も華やかに盛り上がる。もちろん、その背後では主人である皇后や中宮だけでなく、仕える女房達の研鑽があってこそ。1000年の時を経ても、その文化に触れられる幸福を私たちが得ることが出来ているのは、本当に素敵なことだと思います。
もともとシキブさんには親しみがあったのですが、本書のおかげで「シキブさん、私もその悩みわかるわ~」と、いっそう親近感がわきましたね。
小迎さん、赤間先生、ありがとうございました!
(2025.06.11 読了)
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