『学園キノ 7』/時雨沢恵一 ◎


前作『学園キノ 6』を読んだのが、去年の9月。当時すでにこの『学園キノ 7』が出ていたのですが、なかなか取り掛かれず、やっと読む順番が来ました。
前作では、《木乃がキノの出で立ちで「これは夢だ」と思いながらとある国に入国し、静先輩(シズ)や〈キノの旅 シリーズ〉のでキノが出会った(キノが殺した)人々と遭遇する》という、特別エピソードがありまして、それに関して私は〈キノの旅 シリーズ〉〈学園キノ シリーズ〉が合流する重要ポイントなのでは?な~んて思ってたのですが、特に本作の中ではそういうような展開はなかったので、〈学園キノ シリーズ〉のが終わっちゃうんじゃないかという予測が外れて、ちょっとホッとしました(笑)。
相変わらず、時雨沢恵一さんの掌で転がされる、チョロい読者な私でございます。

さて、毎度茶子先生の「突然の号令」のもとに活動内容が決まっていく〈すぐやる部〉ですが、本作でも「キャンプをするよ!」との掛け声で始まります。
茶子先生、ノープランと言いつつ、場所もキャンプ道具も食材さえも全部用意できる計画はあり、上級生3人(木乃・静・犬山)は自力で現地集合&自分の装備は持ってきてね、というところまで既に決まってる状態。
・・・これは、あれですね。すでに「魔物出現」が予測されている場所へ、レッツゴー!な感じですね(笑)。
と、読者は思うわけですが、木乃たち学生5人はウッキウキ♪でキャンプの準備に取り掛かり始めます。

そして、現地集合でそれぞれがキャンプ場に到着し、テントが立てられ、キャンプ道具や食料が自衛隊の輸送機からコンテナ投下され(何故にただの学生のキャンプに自衛隊が補給を行うのか、疑問を持ってはいけない(笑))・・・。
上級生3人のキャンプ(サバイバル)知識が炸裂し、それぞれに、とても美味しいキャンプ料理をご披露。

もうこのまま、楽しいキャンプ小説でいいじゃんと思ってた2泊目の真夜中・・・。
やっぱり、そうは問屋が卸さないのですよ。
子鹿が巨大な魔物と化し、「謎の美少女ガンファイターライダー・キノ」と「サモエド仮面」と「ワンワン刑事」が共闘するも、子鹿を元に戻すのに苦戦し、そこへエリアスが丸太を抱えて駆けつけて、4人の共闘の末、子鹿は魔物から元に戻る・・・。
そして、キャンプ場は元の平和を取り戻すのであった。

うん、毎度ながらツッコミ処が満載だね?だけど、いいのよ(笑)。読んでて楽しいし。
「あとがき」で、時雨沢さんご本人が「キャンプシーンは自分の経験をもとに、なるべくリアルに描きました」と書いてて、確かにキャンプ(サバイバル)知識が身に付きそうですしねぇ(サバイバル知識は、必要かどうかって微妙だけど・・・敵って何を想定したらいいの(笑))。
静先輩、犬山、木乃のキャンプ料理は、ホントに美味しそう。
つい、「私もキャンプしてみた~い」と思ってしまう罠(笑)。
もちろん現実的なことを考えたら、「準備と後片付けが大変すぎる」「私は超絶インドア派」「キャンプ料理は、作る方じゃなくて、食べる人になりたい」ということで、結局は全部誰かがお膳立てしてくれない限り、私がキャンプに行くことはなさそうです(笑)。

〈すぐやる部〉の仲間も、さらに成長したということで、これからも〈学園キノ シリーズ〉が発展していきそうですね。
魔物退治のための特殊人材、木乃・静・犬山に加えて、生身の人間(魔物化経験あり)のエリアス、前作での帆戸なども仲間が増えてきて、ますます楽しみです。

(2025.06.19 読了)

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