『気がつけば地獄』/岡部えつ 〇


自分宛ての荷物と他人宛ての荷物が間違って配達され、めぐり合わせ悪く取り返すことが出来なかったら。
そこから派生して、秘密が秘密を呼び、その事態を作った者をも巻き込んで、思いもよらない結果になったら。
うん、確かに『気がつけば地獄』ですな。
最後まで読み終えて、誰にとってどういう地獄だったかっていうのが三者三様にハッキリして、ニヤリ。
岡部えつさん、私、結構スッキリしましたわ~。

パート主婦の紗依が、夫に内緒で美顔器を購入、ところが受け取った荷物は同じマンションの別の人の荷物だった。
今時はそう簡単に取り違えって起こらないけど、もし私が取り違えに気づいたら、「配達員が取り換えに戻ってくる」ことなんて期待しないで、すぐに宅配便の会社に電話するけどな~。
確かに、受け取りのサインをしてしまったこちらも悪いけど、サインと宛先人が違うことに気づかない配達員も問題じゃないのかな?ということで、宅配会社のミスとして追求できるはずですもん。

まあもちろん、すぐに気づいて対処したら、「SNSに愚痴を上げて、それを夫の愛人が検索して妻のアカウントを特定」、なんていう展開にはならないから、この物語が成立しなくなっちゃうんですけどね。

結婚して子供が出来て、仕事をやめて専業主婦になったら(子供が幼稚園に行くようになってからは、パートに出ている)、夫から下に見られてることが顕著になってきて、更には夫は全然変わらないことにモヤモヤする紗依。
子育てにイライラしてる妻をうっとおしく思い、既婚者であることを告げずに若い女と関係を持ち、「割り切った関係でいいよね」と豪語するクズ夫。
既婚者とは知らなかった、愛があるのは私だもの、と仕事を辞めて妻を陥れるために宅配便の配達員になるなんて策を弄する愛人・夏希。

夏希の画策した「妻のアカウント特定」作戦は成功、ところが紗依の美顔器は、間違って受け取った人が引っ越していったため取り戻せないというハプニングが発生。
「夫に美顔器購入を白状して、取り返しを手伝ってもらう」という紗依に、あの手この手のアドバイスを繰り出して報告させまいとする夏希。

そして間違って受け取った荷物に絡んで、紗依のマンション近辺には怪しい人物がうろつき脅迫じみた文書が投函され、果ては引っ越していった空き室に空き巣が入る始末。
運よく、引っ越していった男と再会できた紗依は、美顔器を取り戻すが・・・。

紗依と夏希の間に妙な友情みたいなものが育ち、なんだかこのまま「妻と愛人」って関係がバレることなく、SNS友達としてやっていけたらいいのに(夏希は夫とは別れて)・・・なんて思ってたら、最後の最後に、夫にいわゆる「ざまぁ展開」が来そうな気配(笑)。
だいたい、既婚者であることを隠して若い女の子をだましたり、それをカミングアウトした後も「割り切った関係」などと言って女の子を引き留め、妻子とは別れる気はさらさらない、美味しいところだけつまみ食いみたいなこのクズ夫のこと、ず~っとむかっ腹が立ってたんですよね。
妻からも愛人からも見放され、この後もっと痛い目に合えばいいと思いますね~。

ところで、取り違えた荷物の中身、なんだったんでしょうねぇ・・・。
そっちがらみのサスペンス展開がもっとあるのかと思ったらあっさり交換終了、その後も中身に関しては連絡なし。
まあ、かなりヤバい荷物だったんだろうな・・とは思いますが。

(2025.08.08 読了)



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