私的には、七尾与史さんと言えば〈ドS刑事 シリーズ〉ですが(ほかにも作品は出してらっしゃいますが、デビュー作『死亡フラグが立ちました! ~凶器は・・・バナナの皮?!事件~』しか読めてない)、気楽に読める本を探してた図書館の文庫の棚でこのタイトル『ヴィヴィアンの読書会』が目に入り、裏表紙の紹介文を読んで「これは面白そう!厚みもないし!」と喜んでからの著者名確認、「七尾与史さんなら大丈夫!」と確信をもって借りてきました。
で、読んでみて大正解でしたよ。
ツッコミ処はまあ色々ありましたけどね、サクサク読めて最後には意外な事実も判明し、明るい感じで終わるのもよかったですね。
ベストセラー作家・ヴィヴィアンすみれの没後1年。ヴィヴィアンの秘書だという多摩川という男に招待され、6人の愛読者がヴィヴィアンの自宅である洋館・鈴蘭荘に集められる。
出された紅茶には3時間で死に至るという毒が入っていて、解毒剤が欲しければ「ヴィヴィアンすみれは殺された、その犯人が自首してその手段と動機をこの場で詳細に説明するか、自首がなければこの場にいる読書会の参加者全員で推理して特定せよ」というヴィヴィアンからのビデオメッセージが流される。
人工透析が必要なヴィヴィアンが、自宅トイレに閉じ込められて透析できなかったが故に死亡。
閉じ込められたのは、トイレの目の前に置いてあった像・ガネちゃんが倒れて出口をふさいだから。
防犯カメラによって密室が証明されているその部屋で、犯人はガネちゃんをどうやって倒したのか?
家電オタクで家電のレビュー動画をたくさん出していたヴィヴィアンの元には、ファンからプレゼントされた家電がたくさん届いていたという。
その家電を外から操ったのではないか?、ヴィヴィアンが実は女装家で交際していた男はそれを知らなかったが故の痴情のもつれではないか?、同じ女装家としての嫉妬からでは?、ヴィヴィアンのゴーストライターの逆襲では?、作家になる夢をヴィヴィアンに絶たれたからでは?、親友がヴィヴィアンの作品にのめり込み作品通りの行動で死亡したからでは?など、様々な推測が出されるものの、決定打が出ない。
そうするうちに参加者の一人が毒に倒れて息絶え、追い詰められたほかの参加者たちにも同様の症状が現れる。
そして、自分が仕掛けたトリックをやっと発見した染谷公太郎が、自分の動機と手段を告白する。
染谷のヴィヴィアン殺害の動機の元となった、「上司殺害」は大掛かりなのに不確実性が高いし、ヴィヴィアン殺しに関してもかなり運に左右される形で、それはどうなのかな~と思わなくもなかったです、正直。
なので、「え・・・ここまで引っ張って、このオチなの?う~~ん・・・」と感じたのですが、最後まで読んで「オチはそこじゃなかった!」となって、割とすっきりしましたね。
あ、そうそう、息絶えたかに見えた者は演技で、毒も盛られておらずノーシーボ効果でみんな気分が悪くなっていただけだった、というのも読後感の軽やかさに役立ってましたね。
ヴィヴィアンがこの読書会を開くにあたって(企画はヴィヴィアンで、実行は多摩川だけど)、本当の「処女作にして遺作」の『ヴィヴィアンの読書会』を著作し、この参加者たちがそれを読んで語り合おう・・・となるところで、物語が終わります。
まさかのヴィヴィアンが実は兄・多摩川の替え玉であったこと、他殺願望があったこと、自分を殺しそうなファンを挑発するためにエッセイ発表を告知したこと、自分の死を予測してこの読書会を描いた処女作を書いていたこと・・・・いやぁ、最後の数ページでいろいろ判明して、なるほどね!そういうことか!と納得。
他殺願望があったヴィヴィアンの希望により、染谷の犯行は公にされず、参加者たちはノリノリで作中作『ヴィヴィアンの読書会』を読み始める。
良識的にはどうなんだ、と思わなくもないですが、物語ですからね。
スッキリと、しかも明るく「読書は楽しい!」で終わるラストに、私はニヤニヤしてしまいました。
(2025.08.22 読了)
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