『胸はしる 更級日記』/小迎裕美子・菅原孝標女 監修:赤間恵都子 ◎


『本日もいとおかし! 枕草子』『人生あはれなり・・・ 紫式部日記』に続く、小迎裕美子さんの〈平安女流作家 紹介エッセイ漫画〉第3弾!
本作『胸はしる 更級日記』で紹介されたのは、〈ムスメ〉こと菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)。
表紙のムスメが眼鏡をかけてる時点で、「あの時代にそんなものあるわけないじゃん!」というツッコミはナシの方向でお願いします(笑)。
物語大好き、ひたすらオタク気質を磨いてたムスメのビジュアルイメージは、これで正解だと思うんですよ!

パリピなナゴンさん、ぐるぐるお悩みシキブさんに続いて、オタクの鑑なムスメちゃんが登場ですよ(笑)。
父親の任地である東国の奥地で、「どうしてもどうしても、物語が読みたい!」と等身大の薬師如来を作って祀っちゃうとか。
京に戻ってきて、伯母から『源氏物語』全54巻(54帖)+様々な物語をもらって「お后様になるより、物語読める方が最高!」なんて舞い上がったり。
『源氏物語』を読み込み過ぎて、暗誦出来るようになっちゃったり。
32歳にしてやっと宮仕えデビューし、物語のような女房生活を妄想するも、「現実は思ってたんとちゃう」となったり。
33歳で結婚するものの、夫はもっさりとした文化的センスのない男だったため、余りに日記には登場せず。

・・・ムスメ、オタク全開だなぁ(笑)。興味のあることはとことん突き詰め、興味がないことは記録に残さない。
千年ののちまで日記が残るほどの文章センスがあるムスメ、現代だったら推し活で名を馳せてたかもしれませんね。

50代を過ぎてから、記憶をたどって事細かに記録(日記)を綴っていたムスメ。
ちょうど私もこの年代なんですが、多感な少女時代から今までを、記憶だけを頼りに文章化するなんて、私には難しすぎる・・・記憶力ザルなもんで(笑)。
「あとがき」でコムカイさんも書いてますが、どこが「本物(日記)」でどこまでが「物語(虚構)」なのか?
どちらにしろ、魅力的な文章力があったからこそ、いったん所在不明になっていたものの170年後に藤原定家に見出されて書き写され、原本は散逸したものの書き継がれて今に至り、2023年には藤原定家の写本が国宝になったって、すごいことですよね。

平々凡々な読書好きの同年代女性として共感する内容も多々あり(ムスメほどのオタク全開にはなれてない自覚はありますが)、ムスメには親近感を覚えてしまいますね。

2025年8月現在では、第3弾の本作までですが、ぜひコムカイさんには他の作家たちも紹介してほしいですね。
ムスメの伯母の道綱母とか、百人一首の小野小町とか、まだまだいますし、何なら女流作家に拘らず、いろんな人をコムカイさん流のエッジが利いたコミックエッセイで読んでみたいです。

(2025.08.28 読了)

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