『終活シェアハウス』/御木本あかり 〇


ずっと友達でい続けた同級生4人で、ルームシェア暮らしをする・・・って言うと、そういえば先月読んだ『たぶん私たち一生最強』と大まかな設定は同じ?なんて思ったんだけど、こちらはまた違った展開。
地元名士の娘・歌子の持ち家である、マンション6階のペントハウスに集うは、小学校の自然観察グループ結成から60年の友情を築き上げている、初老女性4人組。
『終活シェアハウス』というタイトルだけど、68歳なら人生100年時代だもの、まだまだですよ!
御木本あかりさんが描く、仲良し老女4人+秘書(雑用係)大学生・翔太のドタバタ日常。面白かったです。

料理研究家の歌子、元教師で職探し中の厚子、医者と離婚してただいま婚活中の瑞恵、元セレブで認知症予備軍の恒子、そして雑用係として出勤してくる大学生の翔太(とその彼女・美果)。
老齢の職探しの困難さ、恋愛願望と詐欺騒ぎ、忍び寄る認知症の恐怖、家族のための借金、翔太の就職活動。
色々なことが起こるんだけど、割と軽めに物事は進行していく。
というのも、彼女たちは根本的に「お金持ち」なのよねぇ・・・。
生活に困るどころか、普段からさりげなく贅沢をしていて、「根がお嬢様なんだよなぁ・・」と、ちょっと妬みが生まれちゃったり。

歌子の息子の借金の肩代わりで、ペントハウスに住めなくなりそうになっても、歌子以外の3人が1000万を持ち寄ったり、歌子が所持していた絵画が不動産会社の会長の欲しいものだったという偶然で取り戻せてしまうのは、少々出来過ぎかな~と。

ただ、4人が元気に生活してる様子は、羨ましくもあったし、私も元気に好奇心旺盛な老女にならなきゃな‥なんて思えました。

先ほど人生100年時代と書きましたが、だったら68歳で終活って、まだ早い?
というか、何をもって「終活」を定義するかにもよるかな~、なんて物語とは違うことを考えたりもしました。
一般的な終活のイメージって、断捨離とか遺言とか、ちょっとマイナスイメージ。終活したら、後は人生枯れていくのみ・・・的な。
68歳で「あとは枯れて・・」じゃ、早すぎますよね。彼女たちは、断捨離も苦手そうだったし(笑)。

私の『終活』のイメージは、「人生を終えるにあたって、身の回りをスッキリ整理して身軽になること」、「そうすることで無駄なことに労力を使わずにその分のパワーを〈自分の人生を楽しむ〉方に向けること」、って感じなので、彼女たちの軽やかな生き方は、参考になりました。
まあ、残念ながら彼女たちのような経済的余裕はないので、そこの辺りは私なりのオリジナリティーでクリアしなくちゃいけない問題ですが(笑)。

(2025.10.23 読了)

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