横浜の老舗宝石商〈大江〉の御曹司・大江頼任と、〈大江〉と取引のある彫金工房の職人・黒江彩。
2人の丁々発止のやり取りがテンポよくて、そして出来上がってくる予想外のジュエリーの描写にドキドキして、とても楽しく読みました!
有川ひろさん、ド直球の有川節、ありがとうございます!!
『クロエとオオエ』、めくるめく宝飾のお仕事小説、世界が広がりました!!
私、あまり宝飾には興味なくて。
アクセサリーは着けることもありますが、いわゆる価値のある宝石とかほとんど持ってませんし、頼任のいう価値基準もよくわかりません。一応、物語中で説明はされてましたが、まあそんなもんかなぁぐらいで。
なので、作中に出てくる専門用語は、ほぼチンプンカンプン。まあそれでも、物語の流れに沿って想像したり、ちょっと調べてみたりするぐらいでも、ちゃんと物語を楽しめました!
何がよかったって、各章の最後に出てきたアクセサリーのイラストがあり、そこにQRコードがついてるんですよ。それを読み取ると、moie.xx(モイメメ)というジュエリーブランドで実際に作ったジュエリーのインスタグラムにつながるんですよ。
そのジュエリーが一番きれいに見えるように、様々な角度から撮った画像を見て、「なるほどな~綺麗だな~斬新だな~カッコいいな~」とウキウキしてしまうのでした。
宝飾に興味がなくても、綺麗なものって見てて心が豊かになりますもんね。
それにね、クロエの言う「自分のつけたいものをつける」って、大切だなって思うんです。
キズがなくて輝きがあるものが、価値がある。それはそうかもしれないけど、内包物があったって、それを活かしたデザインで唯一無二のジュエリーが作れたら、それが自分のイメージと合ってて、気分を上げさせてくれるものなら、サイコーじゃないですか。
御曹司でシゴデキでイケメンでジュエリーが嫌味なく似合っちゃうのに恋愛ヘタレとか、頼任のキャラがよすぎる(笑)。
そしてその上を行くクロエは、センス爆発の職人さんで、口は達者だし美人だし、たまらんですよ!
クロエに一度告白するも、その時に渡そうとしたジュエリーを突っ返されて撤退、だけど仕事の関係は続いてはっきりしない友人関係?みたいなのがずっと続くなんて・・・頼任の恋愛偏差値が低すぎて、オバちゃん「いや、断られたのジュエリーであって、告白じゃないよ!」とずっと思ってました(笑)。
私がクロエだったら、どこかで「で、結局どうしたいのよ?」って問い詰めちゃうでしょうねぇ。モテない女の焦りというやつですね(笑)。
それをせず、頼任がヘタレを何とか乗り越えるまで待てる度量の大きさ!
有川さんの描く女性のカッコよさ、ホントに最高ですよねぇ!
婚約指輪のエピソードの時は、「頼任、違うだろ!一生モノだからこそ、クロエが気に入るデザインだろ!」とやきもきしましたわ~。
でも、「クロエの感性だけが正義、頼任がダメダメだぁ!」という書き方をしないところが憎いね、有川さん!
頼任の「婚約指輪」に対する思い入れや、頼む相手はクロエパパしかいなかった状況とか考えたら、なかなか難しい。
そこをちゃんとハッピーエンドにもって行けるのも、素晴らしいですよねぇ。
クロエがデザインし直し、鋳造はパパが担うことで、指輪のデザインとしてはOKだし、新しいデザインの名前が「トンネル」というのも素敵だし。ちょっとウルっと来ちゃいましたね。
どのジュエリーのエピソードにも言及したいんですが、ひたすら長くなりそうなのでやめておきます。
総じて《女性が強くてカッコいい》のは、有川さんの作品の定番で、私も大好きなんですが、今回いちばん好きだったのは、頼任の同僚の武闘派(笑)矢内さんですね。(指輪の)サイズ棒のエピソードとか、もうゲラゲラ笑いましたもん。
いろんなお客さん、いろんなジュエリーが出てきましたが、もしかして「宝塚概念ジュエリー」の紳士は、前作『物語の種』の「Mr.ブルー」のミスターじゃないかな?!って思ったんですが、どうでしょうか?
ところで。
moie.XX(モイメメ)というブランドは、本当に神戸にお店&工房があります。
そして、阪神百貨店梅田店に、実店舗があることが分かったので、実は今日行ってきたんですよ(笑)。
スタッフさんがめっちゃフレンドリーで『クロエとオオエ』を読んで来てみましたと言ったら、色々と作中のジュエリーなどを出してくれて、着けさせてくれました。説明もいっぱいしてくれて、ホントにいい人でしたね~♪
インスタ画像はオシャレに映えてましたが、実際つけてみるとなかなかにゴツくて重厚なものが多く、私はまだ自分に貫禄が足りない感じがしました(笑)。小説に出てきたものではないけど、地金のみのシンプルなリングなら、ちょっと欲しいかも・・・。
スタッフさんのお話によると、小説のエピソードはほとんど実話だそうです。
そして、クロエ・頼任・矢内さん・榊さん・頼任父のモデルも社内にいて、田所さんに至っては、今日は来てないけど阪神梅田店のマネージャーさんだそうです。
それから、サイズ棒、持たせてもらったんですよ(笑)。金属で、ずっしり重い。うん・・これは武器になる(笑)。
これをもって警戒しながら宝石を運ぶ矢内さん(いざとなったらそれで「サツする」気マンマンの・・)が、目に浮かびました。
ついでというか・・・。
帰りにたまたま通りがかった地下街で、リンツ(チョコレート)のお店を見つけて、買ってしまいました・・・。
私、クロエと違ってすごく効率の悪い体(つまり食べた分は必ず贅肉になる)なのに・・・!!
うん・・・美味しかったよ。このレビュー書きながら、食べちゃった・・・。
(2025.11.10 読了)
この記事へのコメント
todo23
とは言え、水無月・Rさん以上にこの領域に興味のないジーサンゆえ、宝飾類の説明の多さにいささか辟易したところは有りましたが。。。
http://blog.livedoor.jp/todo_23-br/archives/37506683.html
水無月・R
確かに、宝飾の説明が微に入り細に渡って描かれてるところは、私もいちいち調べるのが面倒でニュアンスで流してました(笑)。
各章最後のイラストを、カラー写真にしてくれたらもっと直接的にわかったかなとも思います(QRでインスタに誘導というスタイルはちょっと広告的な感じがして嫌な人は嫌でしょうし)。
まあ、そうすると書籍の値段が跳ね上がっちゃうから、難しいのかもしれません。
ぽんぽんと飛び交う会話のテンポの良さに乗せられて、勢い良く読めました。楽しかったです。