『成瀬は都を駆け抜ける』/宮島未奈 ◎


本書『成瀬は都を駆け抜ける』は、シリーズ完結編だそうですが・・・。
えぇ~、天下取りましょうよ!世界進出しましょうよ!宮島未奈さん!!

だって、まだ大学1年生(1回生)じゃないですか~。
学生時代の活躍の幅ももっと広がりそうだし、なにより〈成瀬のこれから〉をずっと見守りたいです~!!
まあね、就職とかになったら、今迄みたいに〈我が道を真っ直ぐに貫く〉のは難しいこともあるだろうから、学生時代だけでいいから!
って思えるところで余韻を残して終わり、その後の成瀬の活躍は読者それぞれの心の中に・・みたいな感じでもいいのかもしれませんね。
・・・惜しいけど、気になるけど。

「やすらぎハムエッグ」「実家が北白川」「ぼきののか」「そういう子なので」「親愛あるあなたへ」「琵琶湖の水は絶えずして」
6つの物語、それぞれが本当に面白くて、成瀬の新しい友達・サークル仲間・両親・大津時代の友達・そしてもちろん島崎・・・成瀬が真剣に物事に取り組めば、みんな一緒になって楽しんで協力する。もうホントね、清々しいというか、読んでいる私の心がウキウキしてしまうんですよ。
それぞれの章に出てきた人が、また別の章に出てきて別の人と友達になったり、思い悩んでたことがスッキリしたり、成瀬を中心に波紋が広がっていくのが、とても素敵で。

一つ一つのエピソード、それぞれに色々と書きたいことがいっぱいあるのですが、長くなりすぎてしまうので、やめておきます。
でもね、いちばん笑ったのが「実家が北白川」〈京大、こたつ、鍋。〉ですよ。
出てきた時点で「ブハッ!!」と吹き出してしまい、思わず「うわ~、まんまモリミーじゃん」と大きな独り言。・・・ハッと気づいて周りを見回したら、こちらを不審の眼で見ている人が数人。・・・ええ、私、とあるフードコートでこれ読んでたんですよ。
ちょっと・・・いや、だいぶ恥ずかしかったです。
それでも、その場所を動かず読み続け、再び「ブハッ!」なってしまったのが、達磨研究会会長の「黒髪の乙女に出会いたかったからだ」ですよ。即、〈成瀬が会長の黒髪の乙女になるわけか!〉と繋がり、たぶんギャップに苦しむだろう会長を想像して、笑っちゃって。
しかも、「・・・おともだちになりたいんだ」って・・・!純情だ!ビュアだ!と、またもやニヤニヤ。
うん・・・完全に不審者(笑)。
そしてこの章の語り手・梅谷と成瀬が知り合いになり、会長と引き合わされるんだけど、やっぱり会長は「私には合わないようだ」とか言っちゃって、仲間にすっごく怒られるの。そのシーンでも「うぷぷ」って笑っちゃうし、それよりちょっと前だけど「滋賀県民が京都府民や大阪府民と喧嘩すると『琵琶湖の水止めたろか』という啖呵を切る」という俗説の話になった時も笑っちゃった。確かにTV番組でそういうのが取り上げられてるけど、実際には聞いたことないな~。さくらの「琵琶湖はみんなのものという教育を受けた滋賀県民でも、怒りの限界を超えたらそんなことを言っちゃうという意味」という説が、しっくりくるかな。

あとねぇ、「そういう子なので」の成瀬のお母さんの気持ち、ジーンときた。一応、私も母親なものですから。
子供をあるがままに受け入れて発した言葉に、その子が「そういう子だって認めてくれているんだって」うれしかった、って言ってくれたら、感激しちゃいますよ。成瀬が成瀬たる所以の柱に、お母さん(お父さんもだね)の存在があるって、なんか勇気もらえました。ウチの子供たちも、そんな風に思ってくれるようなことがあったら、いいな~。

最後の章「琵琶湖の水は絶えずして」で、島崎が出てきたときは、「やっぱり最後は島崎じゃなくちゃなんだよね~」なんて、友達感覚になっちゃったりして。
びわ湖大津観光大使の最後の仕事として、琵琶湖疎水記念館に行くはずだった成瀬、盲腸で入院してしまいピンチヒッターに島崎を指名。
成瀬の観光大使としての最後の活躍を見届けようと、今までの登場人物たちが集い、それぞれに(無事退院して駆けつけた)成瀬を応援して、みんなで温かい気持ちになっていくのが、本当にうれしかったですねぇ。
なんか、私も参加者の気持ちになってしまいましたもの。
そして、最後に島崎が「私も二百歳まで生きようと思う」と言うシーンには、胸に迫るものがありましたね。何気ない口調で言ったんだろうけど、その言葉の重みはちゃんと成瀬に伝わって、すごく喜んで安心したんだと思うんですよね。
まあ、それに「だがしかし、最近では二百年では足りないと思いはじめてるところだ」って返すのが、ホントに成瀬だなぁ!
でも、島崎だって負けてない。「うん、いいよ。三百年でも四百年でも生きよう」って返せるんだから。
この二人は、本当にお互いが特別で、信頼してて、大好きなんだなってわかるラスト。気持ちよかったです。

(2025.12.06 読了)

ブロガーさんにご許可頂いたレビューをご紹介します♪
☆おすすめです!☆

この記事へのコメント

  • 苗坊

    こんばんは!
    成瀬シリーズを読み終えてしまったという寂しさがやばいです(笑)成瀬の成長をずっと見守っていたかったです。
    成瀬はただ自分の探求心の赴くままに生きているだけなんですけど、それに触発された周りの人たちが成瀬に着いて行ってそこでまた輪が広がって…っていう展開が良いんですよね。
    達磨研究会はまんまモリミーの世界で私も笑いながら見てました^m^
    お母さんの言葉や島崎の最後のセリフは私もうるっとしました。
    素敵な作品に出会えてよかったです!
    2025年12月30日 19:11
  • 水無月・R

    苗坊さん、ありがとうございます(^^)。
    成瀬が、我が道を真っ直ぐに貫き、周りの人たちも一緒になって進んでいく様子が、本当に素敵でした!!
    成瀬の活躍をもう読めないのは残念ですが、成瀬はずっと成瀬を貫くんだろうなと思うと、心強いですよね。
    このシリーズに出会えて、よかったです!
    2025年12月30日 20:36