『紫式部の欲望』/酒井順子 〇(エッセイ)


『紫式部の欲望』とは、なかなかに意味深なタイトルですよね。
私の大好きな〈平安女流作家さんとお友達感覚〉な酒井順子さんの、文学評論エッセイ。
端的に言えば、「紫式部がどんな思いを抱いて『源氏物語』を執筆していたか」を酒井さんが推察した書籍です。
推察ではあるけど、「うんうん、きっとそうだよね~」って思えました。

『源氏物語』に描かれる、「連れ去られたい」から始まり、「頭がいいと思われたい」「モテ男を不幸にしたい」「秘密をばらしたい」「正妻に復讐したい」「出家したい」など様々な欲望をあぶり出し、解説。
千年前の作品とは思えないぐらい、リアルに我々現代人にも通じる欲望が描かれてるんですよねぇ・・・。恐ろしや(笑)。

アンチ源氏の君なワタクシとしては、「モテ男を不幸にしたい」に大いに賛同(笑)。
なので、女三宮のくだりには、今回もウハウハ笑ってしまいました。いい気味だよ、ホントに(笑)。

「乱暴に迫られたい」に関しては、まさに今時のネットでよく書かれる注意書きの〈ただし、イケメンに限る〉だよなぁ、とちょっと笑ってしまいましたね。酒井さんが書いてるように、私も性犯罪は絶対に肯定しない、やる奴は〇ね!とまで思ってるので、『源氏物語』における女性への強制性交に関しては、ちょっとなぁ・・・という気持ちがあります。自分がやられたら、絶対に嫌だもの。
でも、あの時代・あの物語の中では「源氏様なんだ!だったら、いいかも」と、女性たちが思えるから、アリなのかもしれない。つまりそれが〈ただし、イケメン(地位も名誉もある)=源氏の君に限る〉ってことなんでしょうねぇ・・・、でも私だったらやっぱり嫌だな~。源氏の君、嫌いだし(笑)。

どの欲望もあの時代の人々には叶えるのが難しい欲望であり、それを『源氏物語』を読むことで「スッキリ」でもないけど、発散できたんでしょうね。書いた紫式部に対する称賛も、私たちが思う以上だったんじゃないでしょうか。

(2026.02.17 読了)

この記事へのコメント