『怖ガラセ屋サン』という妙にカタコトめいたカタカナ表記が、絶妙な緊張感を生むタイトル。
澤村伊智さん作品は、〈比嘉姉妹 シリーズ〉で「濁点入りひらがなタイトルは怖さが滲み出す」と思ってたんですけど、カタコト風もよろしくないですなぁ・・・。不吉なイメージが漂う‥。
様々な年代に渡って色々な地域で、〈怖がらせ屋さん〉が依頼を受けて対象者を〈怖がらせる〉。
なんだか「仕置き人」のようですが、金銭を受け取っての稼業ではないらしい。彼女(怖がらせ屋はいつでも20~30代ぐらいの女性)は、淡々と対象者に関わり、最後に恐怖のどん底に突き落とす。基本的に、それは対象者が悪事に身を染めたからで・・・。
6つの物語は互いに全く関係がなく、時代も地域も違うのに、現れる〈怖がらせ屋さん〉なる女性は、同一人物のイメージ。
都市伝説なのか、実在なのか、怪談なのか、実話なのか。
最終章では、〈怖がらせ屋さん〉について調べている男が語り手となり、彼の調べた〈怖がらせ屋さんの元ネタ〉〈取材するライター(失踪)〉〈取材する編集者(失踪)〉などがどんどん描かれていき、そして最後に「何ものをも恐れなかった祖父」と怖がらせ屋さんとの関りに気付かされ、祖父がどうなったかを思い出してしまったところで、物語はブツリと切り落とされる。
男は、どうなったのか。この章で描かれているのは、作中怪談なのか。作中実話なのか。
なにも明らかにならず、読者の推測にのみ委ねられた結末を、私はどう判断すべきなのか。
一つ一つの物語は「後味が悪いな~」「因果応報とはいえ、ホントに救いがないな~」ぐらいのノリで読めるんですよね。
でも、最後の最後に、今までの物語の〈その後〉や〈怖がらせ屋さん〉について調査しようとする者が調査半ばにして失踪すること(混乱や狂気に駆られて?)など、「あ・・・これは、関わると呪われるヤツ・・」と、だんだんに〈怪事〉の陰が忍び寄ってくることに気付かされるんですよ。
「読者も、関係者とみなされるんじゃないのか‥?」とちょっと不安になるタイプの終わり方ですね。
いや、わかってますよ、フィクションだし。
そんなはず・・・ないですよねぇ?澤村伊智さん・・・?
(2026.05.18 読了)
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