『殺戮にいたる病』/我孫子武丸 〇
うん、実は〈叙述トリック〉ってことは、知ってて読んだんですよね。な・の・に!まるっと騙されました・・・最後の最後まで!!いや、最初の方で「んん?なんかこれおかしくないか?」って思ったんですけどね、殺人描写のグロさに目眩まされちゃって、そっちに気が行ってしまって(グロいのはあんまり得意じゃないんで)。我孫子武丸さんの『殺戮にいたる病』、新聞だったか雑誌だったかの書評で〈叙述トリックの至宝〉とかなんとか、紹介されててですね、「じゃあ、騙されるわけにはいかないわな(笑)」ってリスト入りしたんですよ。それがまあ、全くもって、まるっと騙されました。(まあ、水無月・Rの脳内処理能力じゃそうなっても仕方ないのかも)
先ほども書きましたが、なんかおかしいなぁ、違和感あるなぁ・・・とは、思ったんですよ。途中々々にも「なんか表現が古臭いなぁ」と思わなくもなかったのですけどね。だけど、まさか、ねぇ。犯人が女性を見付けてあっさりと犯行に及び、それに関して勝手に自分で美化した思いを縷々、吐露してるのを読んでると、すっかり騙されちゃうというか、うぇぇ~って感じてしまって誤魔化されちゃうんですよねぇ。いや、ホントもう、完敗。
次々に女性を殺してその遺体を損壊した上に、持ち帰って更に凌辱するという、犯人・蒲生稔。息子の挙動がおかしいことから、連続殺人犯は息子なのではないか、と疑う母・蒲生雅子。知人が連続殺人の被害者となり、その妹と共に独自捜査を始めてしまう退職刑事・樋口。この三人の視点で、犯行とその背景が語られていく。
稔…