『人外境ロマンス』/北山猛邦 ◎
『人外境ロマンス』なんていう、不穏そうなタイトルとは裏腹にさわやかな水色を基調としたきれいな表紙。物語も、人外と人とのロマンスを可愛らしく描いたもので、気持ちよくどんどん読めました!北村猛邦さんは、初めて読んだんですけど、いいですねぇ。奥付の紹介では本格トリックのミステリを書く方のようですが…こういう作風の作品、他にもあるかしら、読んでみたいです。
いやもう、とにかく可愛いんですよ~。物語の最初の方は、割と不安が漂ってくるような展開なんだけど、だんだん「あ~、やっぱりそうか~」ってなって、ラストにほっこりするという。そうならない物語もありましたけど、基本的に安心して読めました。人外っていうと、妖怪とか魔物とかそういうインパクトの強いどっちかというと、人と対立する存在を想像してしまったので、そこは予想を裏切られたんですけど、よかったです!
「かわいい狙撃手」大学のエレベーターで見かけた素敵なあの人は、屋上で何をしようとしてるの?「つめたい転校生」隣のクラスの転校生に、見覚えがあるのだけど・・・。「うるさい双子」彼を喪った私は、リゾートバイトをしに行った旅館で、夢を見るようになる。「いとしいくねくね」祖父の住む村で出会った女の子。彼女を見た人たちは次々と不審死を遂げ。「はかない薔薇」殺人現場にあった薔薇の鉢は、犯行を見ていた?「ちいさいピアニスト」村はずれの洋館に出入りする男性と、森に棲む少女。
「うるさい双子」の双子の名前が「ハル」と「シオネ」。結構なヒントですよねぇ。名前が分かった途端、この…