『老人ホテル』/原田ひ香 ○
老人ホテル [ 原田ひ香 ] - 楽天ブックス
原田ひ香さんの作品は、〈お金〉についての物語が多いですね。私がそういう作品に興味があるから、ってのもありますが。長期滞在の老人がたくさんいるビジネスホテル、そこで働く天使(えんじぇる)という名の若い女性が、老人たちから様々なことを学んで底辺生活から抜け出す…という物語。『老人ホテル』というタイトルと、表紙の背中に羽が生えたメイドさん風の女性のイラストから勝手に、素直で純粋な若い女性が、老人たちの知識を学び実践して成長する物語かと思っていましたが、主人公・天使が老人たちとかかわりを持ち始めるまでが結構長かったです(笑)。
TVの人気大家族番組の末っ子だった日村天使(えんじぇる)は、高校を中退し家を出て、その日暮らしに近い生活をしていた。ある日、水商売をしていた頃に出会ったビルオーナー・綾小路光子を見かけ後をつけると、光子が住んでいるらしいホテルには「清掃員募集」の貼り紙があり、天使は光子と再会するためにその職に就くことにする。
生活保護家庭(不正受給か、かなりきわどい計画的な受給)で育ち、なんとなくの生活を続けてきた天使が、光子から〈お金の稼ぎ方〉を学ぶまでが・・・長かったです。ちょっと間延びしてる感も・・・。
まあ、何とか光子とかかわりが持てるようになってからは、話は進みますが。ラストに、光子が息を引き取った後、光子が残したお金を天使が全部ではないにしろ抜き取ったのは・・・どう捉えたらいいのか、わからないんですよねぇ。盗みは悪いことだ!と断罪…