水無月・Rの《2025年 大阪・関西万博》備忘録 ①言い訳編

注:当記事は、読書と全く関係のない記録です。 水無月・R、実は大阪市内在住です。そして、今年開催された《2025年 大阪・関西万博》に、3回行ってきました。万博誘致段階~開催直前まで、「大阪で万博か~、観光客多くなってごちゃごちゃしたら嫌だな~」ぐらいしか、思ってなかったんですよね。そして、「まあ、大阪でやってるし、1回ぐらい見てきたら、それでいいかな~」って、前売り1日券を買いました。 開催が近くなり、入場予約やパビリオン予約をしようとしたものの複雑すぎて、YouTubeなどで情報収集しているうちに、「なんかよくわからんけど、すごいことになってる?」と慌てる羽目に。 そして1回目のソロ万博(6月初旬・平日)。どこのパビリオンへ行ったか、その感想などは、次の「②当日記録編」をご覧ください。とにかく・・・、楽しかったのです。9月10月の大混雑から見ればまだまだの混み具合とはいえ、人気のパビリオンは数時間待ち、予約のみのところは全然抽選が当たらないという状況で、ほぼ「行けるパビリオン」に行ってきただけなのに、本当にとても楽しかった。何か国もの文化を1日で体験でき、パビリオンに入れなくても建物の外観や外でのショーを楽しめ、そして何より「日本語が通じる(笑)」。学生時代の英語の成績が散々だった私でも、海外を体験できる。大屋根リングも、水のショーも、会場内の散策すら、思っていた以上の面白さと感激。夜遅くまで会場に滞在し、帰りの電車ではすでに「もう1回行く!」と決めていました。 基本的に「お祭りなどの…

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『病に至る恋』/斜線堂有紀 〇

病に至る恋 (メディアワークス文庫) [ 斜線堂 有紀 ] - 楽天ブックス 前作『恋に至る病』の、番外編短編集。4編それぞれ、描かれる〈寄河景〉の姿や状況は違うのに、それでもやはりその存在感の強烈さに恐れを感じてしまいます。単に頭がよく(対外的には)性格の良い美少女なのではなく、そこはかとなく毒を含んでいることが、読者にだけ伝わってしまう・・・、そんな印象でした。斜線堂有紀さん、私は未だに景のことは、「誰一人として愛さなかった化物なのか、ただ一人だけは愛した化物なのか」わかりません。 「病巣の繭」幼少期(5歳)の景に不穏を感じていた母が、堕ちてしまったその日。「病に至る恋」ブルーモルフォの指示をこなしながら、変容していくふたりの高校生。「どこにでもある一日の話」景と宮嶺のデートの一日。「バタフライエフェクト・シンドローム」もし、景が自らの影響力を懸念して、不登校を選んでいたら。 「病巣の繭」、分かる気がするんですよね、私も母親なので。信じたいから、信じてしまう。どんなに不穏でクロに近く思えても、目が曇ってしまう、不審を無理やりにでも押し込めてしまう。だって、〈いい子〉なのだもの。そういう風に見えるんだから、それでいいじゃないの・・・って。 「病に至る恋」では、ブルーモルフォのプレイヤーたちが「囲い込まれていく」様子がつぶさに描かれます。学校では浮いた存在の2人が、それぞれの理由と過程でブルーモルフォに傾倒していく様子に、そしてふと現れた景の超越した存在感に、戦慄しました。 「どこにでも…

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『世界でいちばん透きとおった物語』/杉井光 ◎

世界でいちばん透きとおった物語 (新潮文庫nex(ネックス)) [ 杉井 光 ] - 楽天ブックス 大御所ミステリー作家・宮内彰吾が亡くなった。その長男から「父が最後まで取り組んでいた『世界でいちばん透きとおった物語』というタイトルの、未発表作を探し出してほしい」と依頼された、主人公・藤坂燈真。燈真は、宮内の認知されていない息子で、母と宮内は妊娠が判明した時点で別れており、宮内とは会ったこともないし、養育費も受け取っていなかった。そんな燈真の、作品探しミステリー。「ネタバレ厳禁!」「紙の書籍じゃないと成立しない物語」という、やたら煽ってくる前評判にちょっと「なんだかなぁ・・・」と思いつつ、やっと図書館の予約の順番が回ってきたので、読み始めたのですが・・。え~っと・・・、杉井光さん、すごいですね?!いやはや、とんでもない作品を書いてくれました! 図書館で受け取った時、「あれ?こんなに薄い文庫本・・・」と、がっかりとは違うものの、なんとなく違和感を覚えてしまいました。あれだけ話題になった作品だから「すごいもの」ってイメージがあって、こんなに薄くてなんか物足りないな・・・なんて、勝手に思っちゃったんですよね。 物語自体も、一度も会ったことのない父の最後の作品を探していると、何故か家を荒らされたり、作品のありそうな場所で先を越されて原稿を焼かれてしまったり、というミステリー仕立てではあるものの、なんとなくインパクトが足りないような・・・と感じていました。主人公・燈真が、高校卒業後は書店の週3回のバイ…

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『覚醒するシスターフッド』/サラ・カリー他(アンソロジー)〇 

覚醒するシスターフッド [ サラ・カリー ] - 楽天ブックス 10編のシスターフッドの物語たち。ただ・・・、う~ん、なんか私が読みたかったシスターフッドとは違う物語が多かったかな~。シスターフッドの定義がよく分かってないのかな、私。サラ・カリーさんをはじめとする10人の作家たちからなるアンソロジー、『覚醒するシスターフッド』。ちょっと、難しかったです。 柚木麻子さんの「パティオ8」や、藤野可織さんの「先輩狩り」、桐野夏生さんの「断崖式」なんかは、よかったんだけどな~。女性同士の連帯によって事態を切り拓いていくことや、閉塞した世界の中で互いに助け合うことなど、私が「シスターフッド」に期待する要素がそこにはあったので。「老いぼれを燃やせ」とか「なあ、ブラザー」とかは・・・正直よくわからなかったです。 一番よかったのは、「先輩狩り」。ウィルス性パンデミックを抑え込むことが出来ないまま、何年も過ぎてしまった世界。ステイホームで隔離されている女子高生たち(とその家族)だけが集められた街で、夜な夜な街を彷徨する女子高生たち。彼女たちに密かに忍び寄る、「女子高生を連れ去る幽霊の先輩」のうわさ。主人公・ちぇるしーは、実はもう40歳になっていたのだ。何年も、何年も続く、感染症から隔離されて。人生を一旦停止させられて。なんてディストピア。 シスターフッド、難しかったな~。あんまり〈覚醒〉してなかったと感じてしまうのは、私の感覚が鈍いからかしら・・・。 (2025.10.10 読了)

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『八月の御所グラウンド』/万城目学 ◎

八月の御所グラウンド [ 万城目 学 ] - 楽天ブックス 女子駅伝に並走する謎の侍集団、お盆の早朝草野球大会に現れる謎の野球好き青年たち、夢中でスポーツをする若者のそばに現れる彼らの正体とは?!万城目学さんの描く『八月の御所グラウンド』は、何故その場所なのか、何故彼らなのかは、まだ描かれていません。・・・気になる~!!あ、そうそう。すっかり忘れてましたが、直木賞受賞作だったんですね、この作品。万城目さん特有のぶっ飛び感はやや少なめですが、語り手の内心語りが軽快で、読んでてとっても楽しかったです。 まずは「十二月の都大路上下ル」。高校女子駅伝大会で、応援要員のつもりだった1年のサカトゥーは、上級生の不調により急遽選手として参加することになる。彼女の不安は2つ。自分よりタイムのいい親友ではなく、タイムの伸びがいい自分が選ばれてしまったこと。次に、とてつもない方向音痴であること。競技中に自分たちに並走する侍集団に気付き、それに引き寄せられるかのように違う方向に曲がろうとして、「右だよ!右!」と叫んでくれたのは、デットヒートで争っていたライバル校の選手だった。翌日、そのライバルから「ほかの人には見えてなかったし、動画にも残ってないけど、(コスプレではなく本物の)侍集団がいた」ことを聞かされる。サカトゥーと咲桜莉の友情もとても清々しい(出場を選ばれた理由も納得してお互いを認め合ってる)。しかし、サカトゥーの方向音痴は、とんでもないですな(笑)。ここまですごいと、何か実は深い理由があるんじゃないかと思っ…

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『終活中毒』/秋吉理香子 ◎

終活中毒 (実業之日本社文庫) [ 秋吉 理香子 ] - 楽天ブックス 前作『婚活中毒』を読んだときに、後味が悪い・・・毒されてしまう・・・と思ったんですが、本作『終活中毒』も、なかなか毒されますよ、秋吉理香子さん!!なんせ、テーマが〈終活〉でしょう?50代半ばの私にとっては、婚活よりずっと身近な「活動」なわけですよ。4つの終活が描かれ、どれもなかなかに毒々しいです。 「SDGsな終活」余命宣告された女性と結婚し、彼女の死を待つ男。「最後の終活」久しぶりに帰ってきた息子と、家の整理をしていると。「小説家の終活」わだかまりのあった女流小説家の形見分けで受け取ったワープロから出てきたものは。「お笑いの死神」癌を患うお笑い芸人の舞台の客席に、笑わない黒づくめの男が現れる。 「SDGsな終活」は、男の目論見がうまくいくわけないだろうな、と思ってたら、とんでもない方向から毒がふりまかれ、しかも跡形もなく消される結果になるとは、本当にびっくりしました。悪いことってできないのねぇ・・・っていうか、なかなかに「妻」の方も大胆だなと。そして、お金があるってすごいことなんだなとも思いました(笑)。ざまぁ感が半端なく、ある意味、爽快かも? このレビューの冒頭で「毒される」と書きましたが、実は「SDGs~」以外は、イヤミス感は少なめなんですよ。だけど、〈毒〉なのは事実です。「最後の終活」では、まだら認知症の老人に取り入る詐欺師の存在というどんでん返しの後に、心温まるラストが来て、ホッとしました。でも、なんだか「自…

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『めちゃくちゃわかるよ!印象派』/山田五郎 ◎

めちゃくちゃわかるよ!印象派 山田五郎 オトナの教養講座【電子書籍】[ 山田五郎 ] - 楽天Kobo電子書籍ストア めちゃくちゃわかった!(笑)山田五郎さん、You Tube「山田五郎 オトナの教養講座」ではいつも、絵画解説を楽しませて頂いてます!!たくさんある動画の中から、印象派に関わる人たちの回を文字起こししたものなので、一度は視聴してるのですが、ゆっくり自分のペースで読めるのがよかったです。『めちゃくちゃわかるよ!印象派』のタイトル通り、めちゃくちゃ、よくわかりました!! 18人も紹介されてる中で、絵画として好きなのはターナーとブーダンとシスレー。水や空をバリエーション豊かに描いていて、とても素敵ですよね。風景画の中でも、水や空の輝きや感触が細やかに描かれているのが、清々しく広がる世界を感じさせてくれます。 人物的に興味深いなと思ったのが、クールベとカサット。クールベはその反骨心と革命への衝動が劇的だなぁと。あと「絶望」というタイトルの自画像のインパクトの強さ(笑)。カサットは、ヨーロッパでは今一つだった印象派をアメリカに紹介し大ブレイクさせた立役者であり、子どもを可愛く描くその表現力が、いいなぁと。すねちゃってるモデルの女の子の様子が、ホントに良くわかる。子どもやその母親への暖かい視線が、素晴らしい絵画を仕上げたんだなぁと、ほのぼのとした気持ちになりますね。 他人たちも、「印象派」というムーブメントを盛り上げ一世を風靡させ終了までを見送った、素晴らしい画家たちでした。「自然を見た…

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『百鬼夜行 陰』/京極夏彦 〇

文庫版 百鬼夜行 陰 (講談社文庫) [ 京極 夏彦 ] - 楽天ブックス 京極夏彦さんの〈百鬼夜行 シリーズ〉の本編のサイドストーリー短編集、『百鬼夜行 陰』。シリーズ本編の、事件発生のきっかけだったり、背後で密かに起こっていたりする《狂気》が生まれる状況が描かれています。どの《狂気》も、静かに発生進行し、当人にとってはとてつもなく苦しい状況なのに周りから気付かれることなく極まっていく様子が、恐ろしかったですねぇ・・・。 「小袖の手(こそでのて)」『魍魎の匣』と『絡新婦の理』のサイドストーリー。小学校教諭、杉浦の狂気を描く。「文車妖妃(ふぐるまようひ)」『姑獲鳥の夏』のサイドストーリー。久遠寺涼子の幼いころからの狂気。「目目連(もくもくれん)」『絡新婦の理』のサイドストーリー。平野が視線恐怖症になった、本当の理由。「鬼一口(おにひとくち)」『魍魎の匣』と『ル・ガルー』のサイドストーリー。久保俊公に焚き付けられた狂気に喰われる鈴木。「煙々羅(えんえんら)」『鉄鼠の檻』のサイドストーリー。明慧寺の消火活動に参加していた消防士の「煙」への執着。「倩兮女(けらけらおんな)」『絡新婦の理』のサイドストーリー。女学校教師・山本の狂気。「火間虫入道(ひまむしにゅうどう)」『塗仏の宴 ~宴の支度~』と『塗仏の宴 ~宴の始末~』のサイドストーリー。刑事・岩川が悪魔のような少年にそそのかされ、道を外していく。「襟立衣(えりたてごろも)」『鉄鼠の檻』のサイドストーリー。新興宗派の教祖の孫が、教団の盛衰を思う。「毛…

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『たぶん私たち一生最強』/小林早代子 ◎

たぶん私たち一生最強 [ 小林 早代子 ] - 楽天ブックス なんか・・・すごく羨ましい。《一生最強》ってすごいパワーワードだし、しかも《私たち》ですもんね。価値観というか、ノリやツボが同じだけど、同じ過ぎておかしなことにもならない、絶妙なバランスがあるからこそ成り立つ、女4人のルームシェア。しかも、20代後半から20年の長きにわたり、生活が続いているのだから、これは本物なのですよ(もちろん、物語ではあるのだけど)。あの年代の未婚女子に押し付けられる価値観を躱したり戦ったりしながら、4人でタッグを組んで『たぶん私たち一生最強』を歌い上げる物語、とてもよかったです!著者小林早代子さんは、「女による女のためのR-18文学賞」でデビューした作家さん。あの文学賞出身の作家さん、けっこう私の好みに合う気がしますね。とにかく、夢も現実も困難もなぎ倒す勢いで踊り続ける4人の日々、楽しませていただきましたよ! 女4人のルームシェアって聞くとすっごく楽しそうだけど、「期間限定」とか「揉め事起きて空中分解」とか、マイナス要素もちらほら想像しちゃったりして、夢だけじゃ生きていけないから、現実は厳しそうだな~なんて思ったりもするわけですよ。 とりあえあず、冒頭で「朝」という名前の赤ちゃんが生まれて「母親は4人」となってたし、すごく希望に満ちた雰囲気だったので、ハッピーエンドになることは想像できてたんですが。朝が生まれたことがハッピーエンドじゃなく、それも通過点の一つであり、さらにもっと発展した4人の様子が描かれた最…

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『胸はしる 更級日記』/小迎裕美子・菅原孝標女 監修:赤間恵都子 ◎

胸はしる 更級日記 [ 小迎 裕美子 ] - 楽天ブックス 『本日もいとおかし! 枕草子』、『人生あはれなり・・・ 紫式部日記』に続く、小迎裕美子さんの〈平安女流作家 紹介エッセイ漫画〉第3弾!本作『胸はしる 更級日記』で紹介されたのは、〈ムスメ〉こと菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)。表紙のムスメが眼鏡をかけてる時点で、「あの時代にそんなものあるわけないじゃん!」というツッコミはナシの方向でお願いします(笑)。物語大好き、ひたすらオタク気質を磨いてたムスメのビジュアルイメージは、これで正解だと思うんですよ! パリピなナゴンさん、ぐるぐるお悩みシキブさんに続いて、オタクの鑑なムスメちゃんが登場ですよ(笑)。父親の任地である東国の奥地で、「どうしてもどうしても、物語が読みたい!」と等身大の薬師如来を作って祀っちゃうとか。京に戻ってきて、伯母から『源氏物語』全54巻(54帖)+様々な物語をもらって「お后様になるより、物語読める方が最高!」なんて舞い上がったり。『源氏物語』を読み込み過ぎて、暗誦出来るようになっちゃったり。32歳にしてやっと宮仕えデビューし、物語のような女房生活を妄想するも、「現実は思ってたんとちゃう」となったり。33歳で結婚するものの、夫はもっさりとした文化的センスのない男だったため、余りに日記には登場せず。 ・・・ムスメ、オタク全開だなぁ(笑)。興味のあることはとことん突き詰め、興味がないことは記録に残さない。千年ののちまで日記が残るほどの文章センスがあるムスメ、現代だっ…

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